GDPRはインターネット再構築の礎となるか

「さよなら、インターネットーーGDPRはネットとデータをどう変えるのか」

を読んで思うところがあったのでまとめてみました。

GAFAが牛耳る今のインターネット

GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)は個人情報を収集する対価としてユーザーに利便性の高いサービスを提供している。Google、Facebookは収集した個人情報を元にターゲティング広告を配信し膨大な収益を上げている。

「さよなら、インターネット」にあるように、GAFAは個人情報という通貨をマイニングしているような状況だ。インターネットは広く普及し便利になったが、個人情報は吸い取られ続け広告であふれる世界になった。

中国のデジタル監視社会化

中国は一党独裁の元、ほとんど好き放題に国民の個人情報を収集し、国民の暮らしの利便性や治安を向上させる対価として、国民監視を徹底し反乱分子を排除するシステム構築にいそしんでいる。デジタルレーニン主義とも揶揄されるデジタル監視社会化である。

GDPRの理念

EUが施行に移したGDPRは、GAFAによる個人情報の吸い上げと利益独占に対する防衛のために作り上げた。それくらいの認識でいる人も多いと思うが、「さよなら、インターネット」を読むと、著者が言うようにインターネットはどうあるべきかという理念が根底にあると認識を改め、考えさせられることになるだろう。

GAFAが支配する今のインターネットを快く思わない人の中には、インターネットの創生に深く関わった人もいる。EUにとってGDPRはプライバシーの権利を個人に戻すべく、インターネットの再構築を目指す第一歩なのだ。つまり今のインターネットは間違った世界線へ移動してしまったという認識に基づいている。

さよなら、インターネットの著者はドイツ在住で、施行前からGDPRについて追っており、ヨーロッパでは日本よりも今のGAFAが牛耳る世界への問題意識は強いという。

GDPRとインターネット再構築

個人情報を個人で管理する世界観はブロックチェーン界隈の人々が目指す非中央集権の世界観と重なるものがある。実際、EUのデータ主権を個人にもたらすDECODEというプロジェクトでブロックチェーンの研究も含めて新しい経済エコシステムを模索していると「さよなら、インターネット」で述べられている。

私も今の状況にあまり疑問を抱かずにいたが、冷静に考えてみるとインターネットが今の形になったのは必然ではなく、様々な偶然が重なった結果であり、また別の形もあったであろうこと、今から大きく変わる可能性もあることを想像できる。

中国はグレートファイアウォールでインターネットを分断しているが、EUはGDPRの理念を元にプロトコルレベルでインターネットを再設計し、既存のインターネットから分離(フォーク)するかもしれない。そのインターネットは非中央集権を前提としたものになるかもしれない。

改めて考えてみると、今のインターネットはインターネット以前からある欲求刺激の消費経済の延長線上にあるものだ。新世界の構築を目指したインターネットは広告経済に屈したのかもしれないし、新しい経済システムを作ることに失敗したのかもしれない。しかし、ブロックチェーンの仮想通貨はそれを覆す可能性がある。

個人情報提供の対価による利便性の享受よりも、トークンエコノミーのような新しい経済システムを土台とし、めざわりな広告がなく洗浄化されたマネタイズの手段が個人に与えられる。それが今より魅力的な世界に映るならデジタル上での民族大移動が始まるかもしれない。