ブロックチェーンはお金に対する人の行動を変えうる

このところビットコインを筆頭に上昇が続く仮想通貨市場ですが、単なる投機の対象としてではなく、お金のあり方を変えうる可能性があり、そこに私は注目しています。さまざまな仮想通貨がある中、現状、新しい可能性を秘めていると思うのがNEM/XEMです。

NEMというブロックチェーンベースのネットワークの中では、XEMという通貨が流通しています。XEMをアカウントに出し入れする頻度が多いほど、NEMのネットワークに貢献していると見なされ、アカウントの重要度(PoI)の数値が上がります。重要度が高いほどハーベストという名の報酬が多くもらえる仕組みになっています。ハーベストは利息と似ていますが、口座残高のみが報酬額と比例するわけでない点が異なります。

NEMは富の偏りを防ぐ新たな経済圏を作ることを目的に作られました。従来のお金は貯める方向に人々の意思が強く働きます。向こう数ヶ月の蓄えがないと生活が不安ですし、老後のことも考えたらまとまったお金をためておきたくなります。こういう貯める方向に強いインセンティブが働く現在の通貨システムは、次のような格差を生んでいます。

  • 豊かな時代に生まれた人たちがお金を多く保有し、未来を担うはずの若者にお金が回らなくなる(世代間格差)
  • 裕福な親の元に生まれ富を引き継ぐなど、生まれた環境が良いほど有利(出生環境による格差)

このような格差が広がることは、人々に機会が平等に与えられず、結果として生産性が下がってしまいます。このように貯める方向に強く意思が働き、未来のための投資にお金が十分回らないことは、現状の通貨システムのバグだと私は思います。

本来は生活に困らない程度に余っているお金は、投資という形で社会に還元したほうが良いはずです。みながそのようにすれば回り回って個人にも利益が返ってくるはずです。しかし、今の通貨システムでは、未来への投資よりも保身のために、貯める方向へ意思が働いてしまいます。

ブロックチェーンのシステム上で流通するお金は、ただ貯めるよりも未来へ投資することでリターンがある。そういったルールを明確化して仕込むことが比較的容易にできます。NEM/XEMのPoI・ハーベストのルール付けは、未来のお金のあり方を示す貴重な社会実験になるかもしれません。

現状、NEMのハーベストは、それほど多くのリターンがあるわけではなく、ユーザーのネットワークへの貢献にあまり影響しないのではとも言われています。しかし、今後、ハードフォークで調整される可能性もありますし、たとえNEMがうまくいかなかったとしても、より新しいブロックチェーンベースのシステムの糧になるかもしれません。

仮想通貨を単なる投機としての対象ではなく、より良い平等な社会に変えるかもしれないという希望的視点で見ると、もっとワクワクしませんか?