イーサリアムとNEMの本質的な違いについて考える

イーサリアムとNEMはブロックチェーンプラットフォームとしてよく比較の対象になる。両者の本質的な違いを知るには、公式ページでのその定義を確認すると良い。イーサリアムは、Blockchain Application Platformとあり、NEMはNew Economy Movementとある。つまりイーサリアムはブロックチェーン上で様々なアプリを動かすことを目的としたプラットフォームであり、NEMは新しい経済圏の樹立を目的としたプラットフォームである。

イーサリアムはdAppsプラットフォーム

イーサリアムは開発者がプログラミング言語を用いて、ブロックチェーン上で動くアプリを作ることができる。ブロックチェーンが非中央集権であることから、これらのアプリはdApps(Decentralized Applications)と呼ばれ、続々とdAppsと銘打ったアプリが公開されている。

NEMのトークンは組み込み型

NEMはウェブAPIと連携したアプリを作ることはできるが、ブロックチェーン上で動くアプリを作る仕組みは今のところない。対して経済プラットフォームということに重きを置いていることがうかがえるのがトークンの仕組みである。NEMにおいてトークン(NEMではモザイクと呼ぶ)は、NEMで流通する通貨XEMと同じ仕組みである。すなわちプラットフォームに事前に組み込まれたものである。

イーサリアムのトークンはプログラムで実装

イーサリアムのトークンは、プラットフォームに組み込まれたものではない。プログラムで実現できることの1つという位置づけである。ゆえに開発者が独自性の強いものを作ることも可能であるが、そうすると他のトークンとの互換性を保てない。そのためERC-20など規格が提案され、同じ規格で作ることでトークンに互換性を持たせるようにしている。

しかし、今後ユーザーのニーズに合わせて、新しい規格が標準となる可能性がある。実際にERC-20の欠点を補うために、ERC-223,ERC-721という新しい規格もある。古い規格に従って作ったトークンを新しい規格に変換することも可能ではあるが、これもアップデートプログラムのようなもので実現することになる。それは原則、開発者が自分で作ることになるだろう。規格に従うことはインターフェースを規格と同じにしているに過ぎず、異なるトークン間で実装は異なる(同じプログラムを使っていれば同じであるが)。開発者は既存の実装と矛盾が生じないように新しい規格を満たすよう実装し直す必要があるだろう。

トークンのアップデートにまつわる問題

NEMはプログラムでトークンをカスタマイズできる自由度はない。しかし、プラットフォームそのもののアップデートでトークンに新たな機能を盛り込んだ場合、発行済のトークンもその機能を自動的に使えるようになる可能性は高いだろう。なぜなら、NEMのトークンはプラットフォーム組み込みだからだ。

経済圏プラットフォームという観点で見た時、トークンの安定性は重要だと思う。時流によってトークンの規格が乱立したり、新しい規格のトークンへのアップデートが用意されず、価値を失うようなことが起きるのは望ましくない。トークンを自作できる自由度は、開発者もユーザーも混乱に陥る可能性もあるだろう。

イーサリアム or NEM?

現状、イーサリアムは様々なdAppsが作られNEMより普及が進んでいるように見えるが、一般ユーザーがブロックチェーンプラットフォームを日常的に使うようになるまで、まだ数年はあるだろう。NEMが堅実に経済プラットフォームに必要な機能を組み込むに従い、開発者とユーザーは安定性を求めてNEMを選択することも考えられる。

逆にイーサリアムは自由がもたらす混乱を抱えながらも、その多様性がユーザーの支持を受け、ブロックチェーンプラットフォームとしての地位を確固たるものにするかも知れない。もしくはイーサリアムもトークンは組み込みになるかもしれない。

いずれにせよ、今はまだ普及に向けた実験段階で、プログラマとしてはイーサリアムとNEM両方追っておくのが良いだろう。

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