イーサエモンをプレイして感じたdAppsゲームの限界【後編】

前回のつづき。純粋なdAppsとして面白いゲームと作るのは難しいだろうという話をしました。

ゲームを面白くするために、どこまでオンチェーンであるべきか?

すべてオンチェーンで処理するゲームは、ブロックチェーン上にのみユーザーのゲームデータが存在する形にできる。イーサエモンもそうだ。つまり、現在のオンラインゲームのようにゲーム運営会社(中央集権)がデータを管理しない。しかし、ゲーム運営会社がゲームデータを保存していることを問題と思うユーザーは多くはないだろう。不本意なアカウントBANを経験したユーザーは別かもしれないが、もっと大事なことがあるはずだ。

それはゲームがハマれるほど面白いかである。またゲームがブロックチェーンと連携することで期待することは、自分のゲームデータを売ることができるかだと思う。たくさんのユーザーが面白いと思うゲームであれば、育てたキャラクターを売るという市場ができる。ゲームデータをトークン化できトークンエコノミーに乗せることができる。

よって、ゲームの面白さを維持するためには、これまでどおりゲーム運営会社がオフチェーンでゲームデータを保存するが、ゲームデータをブロックチェーン上にトークンとしてエクスポートできる。もしくは、一時データのみオフチェーンで保持し、ユーザーがゲームデータを保存するというアクションを取る時は、オンチェーンで処理し保存する。といったところが落としどころではないかと思う。もしくはサイドチェーンを使う選択肢もあるかも知れない。

完全にトラストレスなゲームはありえない

ゲームをプレイするためにはUIが必須である。例えばイーサエモンはMetamaskというブラウザ拡張を入れブラウザ上でプレイする。Metamaskはイーサリアムのアカウントを管理し送金を容易にする。

トレーニングするモンスターを選び、トレーナーを選択し、トレーニング開始ボタンを押すと、右下にトレーニングを開始しますか?の表示がされる。(2018年3月8日現在の画面)

利用規約に同意にチェックを入れトレーニング開始を押すと、以下のMetamaskのポップアップが現れる。

このポップアップの情報を確認してCONFIRMボタンを押すと送金が行われ、トレーニング開始のコントラクトがオンチェーンで処理され、経験値が加算される。場合によってはレベルも上がる。

最初のトレーニング開始ボタンを押して、Metamaskのポップアップを表示するのは、イーサエモンのブラウザ上のプログラム(JavaScript)である。さらにMetamaskポップアップでCONFIRMを押すと、表示されている金額を送金し、正しいコントラクトを実行するのはMetamaskブラウザ拡張のプログラム(JavaScript)である。つまりこれらはオフチェーンのプログラムである。

ユーザーは、このUIの一連の操作でトレーニングのために送金が行われることを信用(トラスト)して、CONFIRMボタンを押すことになる。もし、このUIを信用しないのであれば、RPCコマンドを打ち、直接トレーニング開始のコントラクトを実行することもできる。しかし、それはもはやゲームをプレイしているとは言えない。

結局、ゲームにはUIが必要である以上、ユーザーがオフチェーンのプログラムを多かれ少なかれ信用する必要がある。イーサエモンはモンスターの状態を書き換える全て?のアクションをオンチェーンで処理しており、それゆえゲーム性を損なっている。

ゲーム性を損なわないためには、もっと多くの部分をオフチェーンで処理し、オンチェーンで処理する機会を限定的にした方が良いと言えるだろう。実際、イーサエモンもオフチェーン処理を増やす予定のようである。それは純粋なdAppsから遠のくことになるが、ユーザーにとってはゲームが面白くなり、参加者が増え、育てたモンスターを売買できる方が重要であろう。

ゲームデータを他の価値と交換する未来

ゲームのキャラクターデータをトークン化し、ブロックチェーン上で他の価値のトークン(農家さんの野菜でも良い)と交換するような未来はありうると思う。ゲームがdAppsであるかより、トークン化したゲームデータをスムーズに他の価値に交換できる流動性のほうが大事である。流動性が高くなれば、プロゲーマーでなくとも育てたキャラクターを売って、日銭を稼ぐことができるようになるかもしれない。

イーサエモンは良い学習材料

正直、今のイーサエモンはゲームとして面白いとは言い難いが、dAppsとして作られたゲームを触る機会として貴重な学習材料であると思う。実際に私もdApps、スマートコントラクトについて理解を深めることができた。プログラマでdAppsに興味がある人は、実際にイーサエモンをプレイしてみて、ソースコードを読んで見ることをおすすめしたい。

※もし認識が間違っている部分があればTwitterでご指摘ください